玄米を食べ続けて50年
マクロビオティックの創始者・桜沢如一先生が、提唱した半断食法「七号食」を何度も実践した結果、「未精製の穀物(玄米・古代米・雑穀米)を好きなだけ食べても7号食と同じ効果が得られる」事を発見、『トミタ式七号食』の普及に努めています。

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2015年12月25日

山田洋二監督の「母と暮らせば」を観る

やはり山田洋二さんの世界は素晴らしいです。

淡々としみじみとストーリーは過ぎてゆきますが、そのたびに涙腺が刺激されて目頭が熱いまんまで終わりました。

山田洋二さんの映画はいつもながら観終わった後でしみじみとした感慨が押し寄せてきます。
これは「慈しみの心」を呼び覚まされるからでしょうね。
「明日からもう一回しっかりと生きよう」と建設的に人生を感がさせてくれます。

冒頭は長崎に原爆を落とそうとしている非日常性であるB29の機内の実写フィルムから始まります。

医科大学で講義を受けている主人公である青年が日常である世界から一瞬の熱線で消え去るのです。

それから3年後に母の家に亡霊(にしてはしっかり存在感として)として現れるのです。
母と息子は過去の思い出に興じ笑い、悲しみ、心配もします。

彼は生前に愛していた女性を気にかけています。
母は「もう三年過ぎたのだから貴女の人生を生きて欲しい。息子のことはあきらめて欲しい」と娘に諭します。

そうやって展開されるのですが、これからどうなるか是非観て欲しいのです。

わたしはこのブログでも再三再四書いていますが
本来人には幸福感や快というものはない、あるのは不快や苦しみという不幸な状況から逃げおおせたときの感覚を快や幸福と言っているに過ぎない。

そういう視点でこの映画を眺めると
確かにそういえるわけです。

それは日常性というものの価値なのですねえ。
わたしたちの日常性とは小さな苦しみや不快はあれど、大過なき状態ですね。

山田洋二はこの日常性を母子に淡々としみじみと語らせるのです。
一方では、この愛おしい日常性を破った非日常性をいろんなシーンで対置しています。

兄が戦死したときにその非日常性としての戦場から日常性の母の夢枕に立たせます。

メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲の鑑賞会で嗚咽した教員のに「自分は出征する前にこの曲を聴いて、もう二度とこの曲を聴けないと覚悟したが、こうやってもう一度聴くことができて泣けてきた」と語らせます。

音楽を聴くことができるという当たり前の日常性とそれが一切叶わないという戦場の非日常性をここでも対置させています。

復員局で親しいものの安否を知るために集まった貧しい人々が映し出され、骨も入っていないだろう白い遺骨箱を抱えて悄然と帰る女性。
それは非日常性でそんなことがあたり前に繰り返された戦中の日本であったということ。

母を亡くした小学低学年の女の子が父の安否を係員に訊ね、戦死であると知らされ「どこでどんな亡くなり方をしたのか」と懸命に訊ねる非日常性のシーン。

いくつものそうしたシーンがちりばめられながら、物語は淡々とつなげられます。

彼女との生前の美しい愛を確かめ合う美しいシーンこそ日常性の輝かしさであり
それを破壊した非日常である戦争をどこにも反戦の文言はないけれど無言で告発しています。


息子の「そういう俺は運命だったんだ」と言うわけですが
母は「そうじゃあない、地震とか津波などの天災に会うのは運命かもしれないけれど、戦争は誰かが計画してしたことなのよ!」と咎めるシーンが印象的でした。

人間の強さは日常性を求めることであり、どんな場合にでも非日常性から復旧させようとします。
それは身体機能にも備わっています。
恒常性機能(ホメヲスタシス)というものです。
それを阻害するものに非日常的食事や強いストレスなどがあるのです。
身体という視点からみればそれは戦時的で日常性からの逸脱なのです。
淡々と玄米を食べるという日常の食事に戻しましょう。

幸せとは夢の実現とかそういった浮ついたものではなく、大過なく生きることにあるわけです。

病気になってあたり前であった健康の価値を初めて知るように
戦争になって初めて平和であった過去が愛おしく思い出されるのです。

現在、私たちは大きな岐路に立たされています。

戦争法案が普通に当たり前に通りました。
日本の青年を殺し殺されるという非日常的空間に放りだしても構わないという非日常的な法案です。

この映画はそうした現在の空気を告発しているのです。
戦争が許されるような憲法を逸脱した法律があるという非日常性を土台にした国で
かりそめの日常性に埋没してはいけない。

是非、観てください。










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